【技術書典 応援祭 】 監視設計本を書きました

残念ながら技術書典8はコロナウィルスの影響で中止になってしまいましたが、 本日3月7日から開催される技術書典 応援祭に参加します。

AWSを使って学ぶ 監視設計」

タイトルの通り監視設計をテーマに書いた本です。

応援祭はこちらです。 こちらは終了しました。ありがとうございました

BOOTHでお買い上げください tenbo07.booth.pm

今回は「チームになったササキです」という、なかなか雑な名前のサークルで合同で参加しています。 本書と一緒に他の本も是非よろしくお願いします。

techbookfest.org

物理本について

印刷前に技術書典8の中止が決まったので物理本は制作していません。
今のところ、作る予定はないです。

本の内容

内容としては、監視設計の考え方や進め方を紹介する本になっています。
第1章〜第5章までで監視の設計方法を一通り紹介し、第6章でAWS上のサーバーレスアプリケーションに対して実際に監視の設計・実装を行っていくという流れです。

各章の説明

各章について簡単に説明します。

第1章 監視の設計

監視の考え方から、実際に設計する際に考慮する設計観点を説明した章です。
「なぜ監視するのか」という、賛否両論ありそうな部分から始まりますので、ソワソワして読んでください。

第2章 SLI/SLO

SLI/SLOの説明と、どのようにSLI/SLOを決めて使っていくかという説明をする章です。
個人的には監視の中でSLI/SLOがキーになると思っています。SLI/SLOを決めて運用するのは大変ですし、導入も難しいですが、それでも頑張ろうという気持ちで書きました。

第3章 AWSにおける監視設計

AWSの監視サービスを一通り紹介する章です。
タイトルに「AWS」と付けてはいますが、この本のメインはAWSではないのでCloudWatchを深く学びたい方には物足りない内容かもしれません。ただ、一通りAWSの監視のサービスについて記載したつもりですので、3章を読んでいただければざっと全体を把握できると思います。

第4章 監視対象の多様化

今までのサーバー監視以外の観点について紹介する章です。
コラムを2本まとめたという感じです。1つは「CI/CD パイプラインの監視」話、もう一つは人ではなくモノからのHTTPアクセスについての話です。目次にも記載してますが、AWS IoTの話ではないので注意してください。

第5章 ダッシュボード

ダッシュボードの設計について紹介する章です。
監視設計のゴールはダッシュボードで、「如何に美しいダッシュボードを作るか」が監視設計の目的ではないかと思うことがあります。この章で言いたいのは、ダッシュボードもちゃんと「設計」しましょうということです。みなさんのダッシュボードを見直すキッカケになれば幸いです。

第6章 AWS上のサーバーレスアプリ ケーションの監視(ケーススタディ)

ケーススタディとして、実際にAWS上のアプリケーションに対して監視の設計と実装を進めていく章です。
サンプルアプリは、定番ですがToDoアプリになります。まず、SLI/SLOを決めてから詳細なメトリクスを見ていくという流れです。SLI/SLOの決め方は、2章よりここの方が詳しく書かれていると思います。
フロントエンドも一応作りましたが、結局登場させられませんでした。フロントエンドからのパフォーマンス監視も入れたかったですが、時間と体力がなく。。。

表紙について

サーバー監視・運用の本というと、最初に思い浮かぶのはやはり ウェブオペレーションです。せっかくならオマージュして海の中の写真にしたいと思いました。
探した結果、暗い海の底を見ているのが監視っぽいなと思い、こちらの画像を選びました。

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表紙

画像は、商用利用可能な素材を配信しているpixabayから使用しています。 https://pixabay.com/images/id-569333/

対象読者

  • 監視設計の経験がない人
  • AWSの監視サービスを一通り知りたい人
  • 他のエンジニアがどのように監視を考えているか興味がある人
  • もう一度監視について考えるきっかけが欲しい人

既に組織やチームで監視基盤を持っていることが多いので、1から監視の設計を考える機会は意外と少ないです。そのため、いきなり監視設計の仕事を投げつけられて、どうしていいかわからないという時に、この本を手にとっていただければと思います。
監視玄人の方には、自分の考えと他人の考えを比較するという意味で楽しんでいただけたら幸いです。「監視」は人それぞれ哲学があるジャンルだと思っています。自分の経験で培った、自分なりの監視哲学を恥ずかしげもなく書いたので、煮るなり焼くなり楽しんでいただければと思います。

この本に書いていないこと

期待される内容の中で書けていないものを列挙します。

  • Observability
    • 自分の中でまだ言語化できることがないので書けませんでした。マイクロサービスの監視経験をもっと積んでからチャレンジしたいです。
  • フロントエンドのパフォーマンス監視
    • こちらは書きたかったのですが、書くには勉強しなければならないことが多く。今回は入りませんでした。。。
  • 各種監視ツールの利用手順
    • 今回使用するのは基本AWSなので、書いてもアップデートですぐに陳腐化しますし、公式ドキュメントやDevelopers.IOがあるので、細かい説明は書いていません。
  • アラートの通知方法
    • アラートが発火してから、どのように運用者にコールや通知するのかといった部分は、詳しく書いていません。私の経験の中だと、他社に依頼していたり、組織内に設備があったりと、TwilioやPagerDutyなど誰でも利用できる仕組みでの経験が乏しいので省きました。

なぜこの本を書いたか

正直、監視というジャンルではオライリー社の「入門 監視」があるので、書いてどうすんねんという気持ちはありました。
今回はサークル主の佐々木さんに誘われて参加しました。本のテーマを考えるにあたって、ここ数年を振り返ると、SREチームを作ったり、SLI/SLO導入したりと監視について考えていることが多く、おもしろいものが書けそうで、書いてみたいのも監視でした。
「入門 監視」はほんとに素晴らしい本なのですが、前述したように監視はそれぞれ哲学があると思っています。監視に限らず、そういった他の人が経験から導き出した哲学のようなものが好きなのですが、監視については「入門 監視」が出てしまったので、もうそういうのは商業誌では出ないんだろうなと思います。しかし、同人誌ならマーケティングは気にせず、好きなテーマを書けます。商業誌で終わったジャンルなら、それこそ同人誌向きなのでは?と自分の中で盛り上がり、この本を執筆しました。

また、ちょうどテーマを迷っていた時期に見た、ビリー・アイリッシュのインタビューにも後押しされました。

書いてみて

ここ最近はほとんどアウトプットをしていなかったので、久しぶりに何か外に出せたのがよかったです。自分の経験を言語化したり、ふわっとしていた知識を学びなおしたり、追えてなかったサービスのアップデートを確認したりと、執筆する中で得られたものが多くありました。
そしてなにより、目次からなにから全部自分で考えるので大変でしたが、同人誌を作るという作業は楽しかったです。

最後に

この本が売れたら、そのお金で4月に発売する絵恋ちゃんのアルバムをたくさん買おうと思います。経済を回すので、安心してご購入ください。

グッズも出るようなので、グッズも買います。安心してご購入ください。